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JVCケンウッド様 導入事例インタビュー

成果創出プログラム

株式会社JVCケンウッド 様

「現場起点のマネジメント改革」を組織に根付かせることで利益率をV字回復

株式会社JVCケンウッドのセーフティ&セキュリティ分野では、国内外の警察・消防・救急などの「公共安全市場」や、鉄道・空港・教育機関などの「民間市場」向けに業務用無線システムを提供する無線システム事業や、国内向けに監視カメラなどのセキュリティカメラシステムや業務用放送システムを提供する業務用システム事業を展開されています。

今回は、鈴木代表取締役専務執行役員にインタビューを実施し、2018年から継続して取り組まれている「マネジメント変革活動(THESEUS)」についての感想を率直に語っていただきました(記事掲載開始日:2025年12月1日)。

まず、2018年に開始されたマネジメント変革活動(THESEUS)を実施する前に、社内ではどのような課題があったのでしょうか?

鈴木氏:正直に言いますと、当時の組織はいわゆる「部分最適」の状態でした。各部門が独自に改善活動を行っており、「部門方針進捗報告会」なども毎月開催されてはいましたが、それが形骸化してしていました。特に部門間の連携や総原価視点での効率化といった改革が脆弱で、成果が出るかどうかは各マネージャー個人の手腕に依存してしまっていたのです。もともと無線事業は高利益体質でしたが、開発商品がアナログからデジタルへ変化、突発的な部品調達先の倒産などで、開発費は膨らみ、残業も増える一方で、なかなか効果が見えない状況が続いていました。その結果、利益率も今と比べると相当低く、2017年頃には損益分岐点ギリギリのところまで落ち込んでいました。

様々な選択肢がある中で、今回、アバージェンス社をパートナーとして選ばれた理由を教えてください。

鈴木氏:当時、全社的な改革プロジェクトが動き出しており、当時の社長は大手コンサルティング会社の導入を検討していました。しかし、その費用が莫大であったことや、現場への定着に疑問があったことから、私達はアバージェンスさんが掲げる「現場での実装に即したマネジメント改革」に魅力を感じていました。当時は「アバージェンスさんをやめて、大手コンサルの方に統一する」という指示もあったのですが、私たちはアバージェンスさんとの契約を進めて、技術本部からスモールスタートで活動を開始しました。

実際にプロジェクトをご一緒させて頂き、どのような感想をお持ちでしたでしょうか?

鈴木氏:2018年度の技術本部での活動では、開発費を約4億円削減、残業代も約5,000万円削減することができました。オーバーワークで疲弊していた現場の業務効率化が進み、リソースの適正化を実現できたのです。また、数字以上の成果だと感じているのは、組織風土の変化です。アバージェンスさんの手法は、何か特別なツールやシステムを導入するわけではなく、トップイシュー(課題)を決めて、その原因を3階層、4階層と深掘りし、それに対する打ち手を決めて、アクションと期限と責任者を明確にして、デッドラインリスト(アクション・期限・責任者が記載された帳票)をベースに進捗管理するという、非常にシンプルですが、本質的なマネジメント改革でした。明らかに大きな成果に繋がったので、他の部門にも当然展開していこうということになりました。また、全社的に進めようとしていた大手コンサルティング会社の導入は見送りとなりました。

その後、他部門でもプロジェクトを数回ご一緒した後に、改革専門部隊を立ち上げられて、活動を継続されましたが、どのような意図があったのか教えていただけますでしょうか?

鈴木氏:いつまでもアバージェンスさんに頼るわけにはいきませんから、改革を他部門にも展開して、定着させ、自社だけで実装できる体制を作る必要がありました。そこで立ち上げたのが、改革推進の専門部隊である「チームJK」です。これは、トップである事業部長の強い覚悟のもと、リーダーシップのある人材をリーダーに据え、各職場からメンバーを選抜して構成しました(5-6名)。 ここでは、選抜されたメンバーが改革手法を実践で学び、元の職場に戻ってから推進役として活躍するという、人材育成のサイクルにもなっています。このチームを組成・維持には固定費がかかりますが、このチームがあることで、形骸化していた会議体が、目的とゴールの明確な「THESEUS推進会議」へと生まれ変わり、実効性のあるマネジメントが継続できています。投資対効果としては十分すぎるほどの成果が出ていると感じています。

THESEUS活動を継続されて、分野の業績や組織の状態としてはどのように変化されたのでしょうか?

鈴木氏:改革を始める前は損益分岐点ギリギリだったのですが、それが今では利益率20%を超える事業へと成長しています。会社全体の事業利益の中でも7割を超えるウェートを占め、全社への貢献度が高まってきています。もちろん、内的な要因だけではなく、外的な要因もありますが、基盤としてやはりTHESEUS活動に着手し、それを継続してきたことが大きいと感じています。THESEUS活動の手法を様々な部門・テーマで繰り返すことで、マネージャーたちが自部門の課題解決のために他部門と連携するようになり、組織としての「守・破・離」の成長プロセスを回せるようになったと感じています。

活動を始めた頃のTHESEUS活動と今ではどのような変化がございますか? また、今後の展望についてもお聞かせください。

鈴木氏:改革当初は既存事業におけるコスト削減や効率化が主なテーマでしたが、現在はフェーズが変わり、事業拡大や新たな領域への挑戦に関連するテーマが多くなってきています。現在は、2030年に売上1,200億円というビジョンの実現に向けて、利益率20%を維持しながら利益の絶対額を増やしていく段階です。私は「志高く」という言葉を何度も何度も現場の皆さんに伝えていますが、事業部長を中心に現場で自走ができているので、私は大局的な方向性を示すことが役割だと思っています。

どのような企業・組織にアバージェンスのサービスはお勧めでしょうか?

鈴木氏:やはり「マネジメント改革」が必要な企業、特に現場が長時間労働で疲弊しているような組織にお勧めしたいですね。「行動が変われば結果が変わる」とよく言われましたが、組織において行動を変えるというのは、すなわちマネジメントを変えることです。精神論で解決しようとするのではなく、マネジメントの仕組みを変えることで、現場の人たちの働き方や意識は確実に変わります。

かつての私たちのように、現場が疲弊し、成果が出ずに悩んでいる企業こそ、一度相談してみる価値があると思います。

本日はお忙しい中、長時間に亘ってご協力いただき、ありがとうございました。