「大手自動車部品メーカーにおける半導体不足に対応したSPIプロセス刷新」についてご紹介します。過去数年に亘る半導体不足。特定の半導体部品は納入されないけども、他の部品は納入され続ける結果として、過剰な部品在庫が積み上がり、キャッシュフローが悪化する状況に陥っていました。あるべきSPIプロセスを設計し、13個の打ち手(効果額:25億円相当)を導出しました。
従来のSPIプロセスが機能不全も他責的思考が蔓延
部品在庫の発生状況とその原因調査のための予備診断を実施しました。その結果、部品在庫が積みあがる原因として、①従来SPIプロセスでは半導体不足に十分対応していないこと②部品在庫の発生の原因を他責的にとらえていること③部品在庫を抑制する有効な打ち手を導出・実行できていない、という状況が明らかとなりました。
部品在庫発生のメカニズムの究明
予備診断結果を踏まえて、部品在庫発生のメカニズムを部品在庫の種類毎に仮説を構築し、その原因・真因を特定し、真因に対する打ち手とその実行計画を管理職と協議しながら、合意形成を図っていきました。また、合意形成をした結果を経営陣に毎週報告をしていきました。我々、アバージェンスが具体的に実施してきた主な働きかけは8つに収斂されました。
1 現行のSPIプロセスの可視化
2 部品在庫の課題の構造化仮説構築と仮説検証
3 部品在庫の真因に対する管理職との合意形成
4 真因に対する打ち手の方向性の導出と管理職との合意形成
5 導出した各打ち手の具体化(ルール・プロセス・仕組みの再定義)
6 打ち手を統合したあるべきSPIプロセスの策定
7 打ち手の実行計画とアクションプランの作成
8 打ち手の推進体制と経営への提言
成果創出の鍵を握った活動
感覚的、且つ局所的に実施されてきた部品在庫の対策をやめて、現行のSPIプロセスの全体像を俯瞰しながら、事実に基づく課題の構造化と仮説検証を実施してきました。その仮説検証結果を可視化(大きな模造紙に分析結果を貼り出し)しながら、管理職と協議・合意形成を図り、打ち手の洗い出しと優先順位付け、打ち手の具体化・実行計画・アクションプランを作成していきました。また、それらの打ち手を実施した場合の想定効果の算出をしていきました。
打ち手の効果額は約25億円(部品在庫の25%減)
我々、アバージェンスが伴走をした約3ヵ月弱で、あるべきSPIプロセスを実現するための打ち手の効果額は約25億円に相当し、部品在庫全体の25%減に相当しました。打ち手や想定効果を経営陣に報告した結果、約半年間の実行フェーズに移行するという意思決定が下されました。その後は、隔週で開催される推進会議(経営陣に対して打ち手担当の管理職が進捗報告する場)にて打ち手の進捗確認・効果の進捗確認が実施されることとなりました。