事例紹介 / CASE STUDY

AIM コラム COLUMN

新規事業の正しい
つくり方

新規事業開発が花盛り

ビジネス関連の広い情報収集をしていて最近よく目につく言葉があります。それは「新規事業開発」。「スタートアップ・アクセラレーション・プログラム[1]」、「新規事業に必要な一次情報を1時間で収集できる[2]」、「新規事業計画の参考に[3]」、「新規事業をカタチにする9つのステップ[4]」…。目につくと思っているから余計ピックアップしてしまう、というバイアスもあるのでしょうが、実際にクライアントから新規事業開発支援のご要望をいただくことが増えてきています。

新規事業開発のステップやフレームワーク

新しい事業をつくる方法論もたくさんリリースされています。書籍も多い、ウェブサイトも多い、事例紹介も多い。たくさんあり過ぎてとても全てに目を通せませんが、『必須のnステップ』や『ステージ別◯◯フレームワーク』という類のカタの提示がされています。それらには共通する部分も見受けられると同時に、バリエーションも数多くあります。

何から始める?どう続ける?

「で、何から始めればいいの?」「どんな風に進めていけばいいの?」と問うている方々には、踏むべきステップや検討すべきフレームワークが多く提供されているのは便利ですね。どれを採用したら良いかわからない、という悩みはあるにせよ、手がかりがあるのは助かります。

AIM流新規事業開発の方法

我々もそういうステップやフレームワークを持っていますし、クライアントと一緒になって事業開発を現在進行系で進めています。ステップやフレームワークは時々にアレンジしながらツールとして用い、アイディアを実現するためにクライアントと一緒に汗をかいています。たくさんの現場に出向いてかく汗や、仮説が外れたときの冷や汗など色々ありますが、ちょっとずつでも進んでいくワクワク感は魅力的、いや魔力的なほど私たちを惹きつけます。

事業開発がスタックする時

新しいものをつくっているわけですから、山あり谷ありで当然。スタック(停滞)したり、後戻りしたりします。後戻りはまだいいんです…いや、よくはないのですが、少なくとも「このまま進んでもダメそうだ」と、次に何をするのかがわかっている点でマシです。

スタックは困ります。次に何していいかがわからないので。「市場規模を推定したいのだがデータがない」、「この価値提案がどこまで想定顧客のウォンツに刺さるかがどうもはっきりしない(試しに聞いてみたけど意見が割れた)」、「スケール(大きくしていく)仕組みに自信はあるが前例がないから実証できず、実証できないものはOKが降りない」、など色々な理由があるでしょう。

審査委員からのダメ出し

最後の例示を「OKが降りない」としました。だれからOKが出ないのか?上層部です。上層部って?新規事業をつくろうとしている組織の幹部層、デフォルメすると『審査委員』みたいな方々です。そこがOKしない。こういうスタックは、本当に困るスタックです。そこから抜け出す方法が見い出せず、それがゆえにお蔵入りしてしまう可能性が高まるからです。こういうスタックは避けたいものです。

そもそも『審査委員』にあたる方々が、事業開発のプロフェッショナルであるとは限らないですし、新規事業という新しいチャレンジを既存事業運営の文脈で評価してしまっているのかもしれません。早く事業化したいが故に結論を急いてしまっている場合もあるでしょう。上層部からOKが出ずにスタックしている場合は、前述したようなことを点検し、ステップバイステップで育てていく寛容さを取り入れる必要があるでしょう。

当事者の熱意枯渇

新規事業の検討開発において避けたいスタックには、もうひとつあります。それは事業の開発検討にあたっているメンバーのやる気が損なわれて起こるスタックです。理由は様々あるでしょう。重要な検討に社内の別部署の人たちが協力してくれない、開発メンバーの工数が足りない、そもそも事業開発にあたるメンバーが他に本来業務を持っている兼務者で、本来業務が忙しくて新規事業どころではなくなる、などが単発あるいは重なるように起こり、事業開発チームの熱意が下がり、だんだん低調になり、そのうち明らかな体裁整え業務になり、検討が止まる。これも困ってしまうケースです。やる気が失せた少数派がいるだけなら、その方々に抜けていただけばいいだけのことなのですが、全体的に温度が下がってしまうと、立て直すのが至難の業になります。

このようなスタックの解決策は簡単ではありませんが、最低限、工数不足による疲労や集中力不足には陥らないチーム編成をすること、そしてチームメンバーが逆境に屈しない支え合いができるよう編成すること、は最低限、必要なことです。特にチーム編成においては、ビジネスや技術面での素養やスキルだけをメンバー選定基準にするのでなく、例えば父親役、母親役、やんちゃ坊主役が期待できるような人柄面への留意が大切です。

新規事業開発が日本をマシにする

「進む日本の没落」。そう聞くとどんよりしますが、世の中にはそれを裏付ける指標が溢れています。でもネガティブな側面ばかりを強調していては、どんどんネガティブになってしまいますね。

新規事業開発は、日本のリバイバルに欠かせないものだと考えます。あちらこちらで進む新規事業開発の取り組みを応援していますし、微力ながらそのために我々AIMも動いてもいます。ネガティブな側面を強調しないように、といいながら、本論では『スタック』というネガティブ側面を取り上げるかたちになりましたが、「お互い、そうならないようにしていきましょうね!」というエールとして、また自戒として受け止めていただければ幸いです。


[1] https://sony-startup-acceleration-program.com/

[2] https://visasq.co.jp/

[3] https://jp.ub-speeda.com › 業務効率改善 › 2000社超導入

[4] https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00515/011600003/