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マネジメント・レポート MANAGEMENT REPORT

目標達成の必要条件 – 6 Gapマネジメント –

アバージェンスマネジメント研究所

所長 広川周一

マネージャーの役割

マネージャーには様々な役割がある。組織を率いる、上層部と現場とをつなぐ、自分が発火点となってモチベーションを高める。相談を受ければ応じるし、突発事項には真っ先に対応する。

最重要は目標達成

このように様々な役割を負っているのがマネージャーだ。大変ではあるがその分、やりがいもあるはずだ。難題の解決や突破の立役者になれる。上層部からの期待を重荷に感じつつも、それイコール期待であることに悪い気はしない。「大変だけど何とかしよう」という気持ちになれる。

「何とかしよう」。これがマネージャーの本質だ。受験や英語資格試験で勉強した方々にはお馴染みの”manage to ~ “(何とかして〜する)がマネージの原義であり、マネージャーのマネージャーたる所以といえる。

マネージャーは様々なタスクに立ち向かう。その様々なタスクのなかで、マネージャーにとって一番重要なものは何だろうか。

私は”目標達成”である、と考える。

なぜ目標達成か。マネージャーは組織に属する。組織には目標がある。その目標は部や課などのチーム、つまりマネージャーが受け持つ単位に分解される。組織は目標達成を目指す。であれば、マネージャーも受け持つ単位での目標達成が必要となる。マネージャーがマネージ(何とかして〜)するときの”〜”とは、組織にとっての目標達成である。

相談される、依頼される、参加や意見を求められる、枠から出た発想をする、甲論乙駁を取りまとめる。全て大切なタスクだ。しかし、それらに関わっていたが故に目標が達成できなかった、という弁明は認められない。マネージャー自身も自分に及第点を出せない。

目標達成とはギャップを埋めること

一方、目標は未達に終わることが少なくない。目標未達は避けたい。それは自分が立てた目標達成ができなかった、という個人的な理由のみならず、組織業績に負の影響を及ぼすからだ。

「こうすれば絶対に目標達成できる!」という十分条件を私は知らないが、「こうしなければ目標達成はそもそも無理か、できたとしてもそれは幸運な外的要因に因るものであり再現性が乏しい」という必要条件なら提示できる。

しかもそれは、極めてシンプルな図式で示すことができる。その図式を6 Gapと呼んでいる

埋めるべき6つのギャップ

「TOIECで750点をとることを目標としながら結果は565点に終わってしまった」という一例で、埋めるべき6つのギャップを説明していく。

  • 目指す点数は750点
  • 直近のテスト結果は550点
  • 追加勉強して埋めるべきは200点
  • 200点多く獲得するための追加勉強が必要
  • その分を学習スケジュール化しないといけない
  • ただ週末のリフレッシュ時間を優先したら学習工数が足りなくなった
  • また仕事上の突発対応で夜の勉強を幾日かスキップしなければいけなくなった
  • それでも勉強したが思うように結果が伸びない
  • 試験当日には緊張からポカをした
  • 結果は565点。前回よりも伸びたが目標には到達しなかった

この例を図示すると以下のようになる。

このように分解すると目標から実績までの過程が見えるので振り返りがしやすい

ギャップは全部で6つ。それぞれのギャップをきちんとマネージできていなかったために目標は未達になった。

  1. 前回550点取れたからといって今の実力を過信していなかったか
  2. 750-550=200が追加したい点数ではあるが、200点分の追加勉強で足りていたのか
  3. 必要な勉強を全てスケジュール化できていたか
  4. 立てたスケジュールどおりに勉強できたか
  5. 想定通りに英語力は上がったか
  6. 本番の緊張などを想定していたか

これを我々は6 Gapマネジメントと呼んでいる。目標達成の必要条件とは、この6つのギャップをマネージしていくことを指す

6つのギャップの埋め方

これら6つのギャップを丹念に見ていくと、後になればなるほど統制しづらいことがわかる。

TOIECの例の場合、前回550点取れたからといって常にそれだけの点数が取れるとは限らない。この際、実力を客観的に捉えて「せいぜい500点くらい」と見越すのは自分でできる。

次に、追加勉強で底上げする点数はギリギリレベルではなく、バッファーを含めて設定した方が安全だ。

この2つのギャップは自分でコントロールしやすい。どう見るか、どう置くかだけだから。

その次のギャップであるスケジュール化は難度が少し上がる。勉強に必要な時間を、手持ち時間の中で確保できない場合も出てくるだろう。仕事もあるし、プライベートの都合もあるのだから。

スケジュールの履行もそうだ。毎日、予定通りに勉強できるとは限らない。また費やした時間に比して思ったほど英語力が上がらない、ということも有り得る。

そして本番では予想外のことが足を引っ張る可能性もある。

要するに、3つ目以降のギャップは生じてしまうものと捉え、それをできるだけ抑えるしかできない。なかでも5つ目、6つ目のギャップはさらにコントロールしづらい。だからこそ、自分の捉え方次第で何とでもなる1つ目と2つ目のギャップを、きちんとマネージすることがとても重要となる。

重要なのは予測値ギャップと施策値ギャップの適正化

ここまでの話をまとめよう。

6 Gapマネジメントを実践する場合、最初の2つのギャップのコントロールが最重要である。

1つ目のギャップである予測値(TOIECの例で言えば今の実力)と目標のギャップ対策は、実力を冷静かつ客観的に判断し楽観的な予測を立てないことが重要だ。できる限り現実的な値を見定める。

2つ目のギャップである施策値(TOIECの例で言えば追加勉強で狙う点数)は、予測値+施策値が目標値を上回ることがキモといえる。施策値とはこれから努力して追加していく分だ。その結果を楽観視せず、多めに積んでおいた方がいい。とはいえ根拠のない施策を闇雲に積んでも意味がない。その塩梅をコントロールするのはマネージャーの役割といえる。

3つ目と4つ目のギャップ対策は、行動計画の漏れを無くすこと、計画通りに実行していくことだ。何せ対象がチームメンバー全員だから、漏れやズレが生じやすい。だからこそマネージャーは、チームの行動計画や計画通りの実行に注意を払いたい。

5つ目と6つ目のギャップ対策は更に難度が上がる。外的要因に左右されやすいからだ。上手くいくはずと思った策が外れることもあるだろう。また、上手くいったのだが、期待通りの成果に届かないこともあるだろう。ビジネスは常に外部環境の影響を受ける。5つ目と6つ目のギャップは、6つのなかで最も外部環境の影響を受けやすい。

最初の2つのギャップのコントロールが最重要であるのは、それが理由である。

自らのマネジメントを見直す

ここまで、6 Gapマネジメントを実践するための基礎を述べてきた。紙幅の制限上、語れることはここまでとなるが、これ以降も注意すべき点は数多ある。

6 Gapマネジメントができるような仕組みやツールが整っているか?メンバーにこのマネジメント方法を浸透させるためにどんな工夫が必要か?等々、検討リストは続いていく。その実現は容易ではない。

容易ではないが、目標達成を目指すのであれば、少なくとも必要条件である6 Gapマネジメントを行うことをお勧めしたい。その成果を実感できるはずである。

お読みいただいたマネージャー諸氏のご成功を祈念して、一旦、筆を置かせていただく。

以上

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ここまでお読みいただき、ありがとうございました。6 Gapマネジメントをご自身の人生やお仕事における自部門に実装する際のコツや方法をさらに詳しく知りたい方は、ぜひお問い合わせ下さい。ご事情に合わせた助言を喜んでさせていただきます。

また、6 Gapマネジメントをわかりやすく解説した動画もございます。とてもわかりやすくサクッと観られる内容です。ぜひご覧下さい。

広川周一

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