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マネジメント・レポート MANAGEMENT REPORT

「成長のセルフマネジメント」

アバージェンスマネジメント研究所

  ファウンダー 大西 秀亜

       

年が改まり、年始に一年の目標を掲げる方、そしてその目標が何かしらご自身の成長に関わる内容であることが多いのではないかと思う。特に、プロフェッショナルキャリアにおける成功を志向する方に向けて、長期的な「成長のセルフマネジメント」について書き進めてみる。


I. 成長の「モノサシ」

プロフェッショナルとして成長するために、大勢の方がさまざまな努力をされている。日々の業務における創意工夫、研修への参加、自己啓発としての読書、資格取得のための勉強など、それらの努力はとても立派なことで、そういった努力に無駄なものはないと思う。

一方、それらの努力や行為が自己目的化していて、プロフェッショナルとしての成長に結びつく度合いが低いと感じることがある。プロフェッショナルとしての成長とは何なのか、そこからご自身の成長を測る「モノサシ」を設定して、その成長度合いをマネジメントするアプローチを提唱したい。

【ジュニア層にむけて】

筆者は、プロフェッショナルとして成長とは、「チームや組織の成果創出により多く貢献できること」と考えている。プロフェッショナルキャリアを歩み始めたばかりの方々には、以下の3つの「モノサシ」を紹介したい。

ジュニア層には、チーム内で何らかの役割(=仕事)が与えられている。

  • その仕事を早くする
  • その仕事の質を上げる
  • 仕事の範囲を広げる

1. その仕事を早くする

仕事を(品質を落とさずに)より早く終わらせることができる、ということに特に説明は不要だと思う。それが反復的な作業であれば、アウトプットの量が増える。流れ作業なら、あなたが、その仕事を早く終わらせたことにより、後工程に余裕ができる。その余裕が他に発生した問題解決や、全体の品質の磨き込みの時間として使われることで、チームに貢献する。

2. その仕事の質を上げる

仕事の質を上げるとは、(スピードを落とさずに)その仕事の品質を向上させることだ。誤字脱字、計算ミスがない、といった基本的な品質はもとより、他者にとってのわかりやすさ、後工程の仕事がやりやすくなる工夫なども含まれる。ただし、品質とは「要件の一致」で、自己満足的な過剰品質はここには入らない。あくまでチームに貢献する品質向上である。

3. 仕事の範囲を広げる

仕事の範囲を広げるとは、あなたができる仕事の種類を増やすということだ。望ましいのは、今の仕事と「地続き」であること。前工程と後工程にある仕事、工程的には別だが、チーム内の仲間がやっている仕事などをあなたができるようになる(=理解が深まる)と、チームとしての業務プロセスの改善、病欠・産休・育休など一時的なメンバーの離脱への対応などが可能となり、チームへの貢献は大きい。チーム外、組織外の仕事ができるようになることを否定するものではないが、それがチームの成果に結び付くのかどうかを見極めてほしい。

営業部門など、数値でわかりやすく実力を測ることができる仕事において、売上などの数字を上げることは、チームへの貢献として大きな意味がある。そのような成果を挙げた時に、是非ご自身の行動を上記3つの観点で振り返っていただきたい。上がった数字は、あなたの行動変化の結果であるはずだ。

ここまでの内容は、一見、現在の職場への適応に偏って見えるかもしれないが、現在の職場で創意工夫した経験は、他の職場へ異動となっても、あるいは転職しても、必ず活きてくる。また、管理職となって部下を指導する際にも、部下の成長を促進できる上司となれるであろう。

【シニア層にむけて】

ここでシニア層と呼ぶのは、部下を持ってチームをマネジメントする立場の管理職からCxOと呼ばれる経営層までを含んでいる。ジュニア層と同様に、与えられた仕事を実施することもシニア層にとって重要であるが、ジュニア層と根本的に違うのは、管理職は未来を創り出す役割を担っていることだ。

そういった管理職にとっての成長の「モノサシ」は以下の3つとなる。

  • チャンスとリスク
  • 実行可能な計画立案と実行
  • チームワークとコントロール

1. チャンスとリスク

管理職が未来を創るためには、チャンスとリスクを見つけられる必要がある。筆者は「企業活動は課題解決とチャンス開発である」ということを、以前の上司から教わった。課題の中で顕在化していない課題がリスクである。将来にむけてチャンスとリスクをどれだけ見つけられるかが、管理職の成長の「モノサシ」である。たくさん見つけられるほど成長していると考えて良い。

2. 実行可能な計画立案と実行

ストレッチした実行可能な計画を立て、それを実行できることが二つ目の「モノサシ」である。実行可能な計画を作るためには、まず過去の実績、足元の状況を的確に把握する必要がある。その上で、チャンスとリスクを含め、未来を見立てる。さらに、未来を見立てる時に、より長い時間軸で物事が考えられるようになることが管理職の成長である。実行においては、ゴールからの逆算と周到な事前準備、状況変化に対する迅速な対応(=意思決定)などが求められる。

3. チームワークとコントロール

管理職であれば、自部署のメンバーとの仕事だけでは済まない。他部署、直属の上司、役員、取引先、社外の協力者などを上手に巻き込み、それらを一つのチームとして活動して成果を出すことが求められる。より多くの人たちと「協働」できることが管理職の成長である。

加えて、管理職にとっての重要な役割は部下育成である。部下育成においては、一定のチャレンジの機会を提供する必要があるが、そのような場合でも想定外の失敗が起きないように誘導(=コントロール)することが管理職に求められる。また、失敗とは言えないが、部下の仕事に出来不出来は当然ある。たとえ不出来だったとしても、チーム目標が達成できるような全体のコントロールが求められる。このようなコントロールが上達することも管理職の成長である。


II. 最後に、前提として

前提であり、基盤となるのが、ご自身の健康である。度々体調不良になるようでは、ご自身の能力を安定して発揮することはできない。万全の状態で、業務や自己啓発に臨めるようにしたい。

そのために睡眠時間、食事などに気を使うことはとても大切なことだ。極端な睡眠不足、暴飲暴食などが続くなら、放置せず、何か対策を考えなくてはならない。また、人それぞれ体調面の弱点がある。筆者の場合、以前は胃腸の弱さを自覚していた。対策としていくつか試す中で、ある乳酸菌飲料に辿り着き、今では、胃腸についてなんの懸念もない。慢性的な腰痛もあった。腰痛緩和のためのストレッチを自宅で行うなどにより、現在はかなりコントロールできている。弱点のある方は、積極的に対策を試みることをお勧めする。

精神面の安定も重要である。プライベートな心配事は確実にパフォーマンスに影響する。そういった心配事や心配事の芽を放置せず、積極的に対応して行くことも重要なセルフマネジメントと考える。深刻な場合には、業務を一時的に軽減することなども考えるべきで、それは遠回りに見えて、近道であることが多い。

いかにも当たり前のことと感じられるかもしれないが、このような健康面(広くとれば環境面)での整備が疎かなまま、もがいている方が意外に多いと感じている。心身ともに万全の状態を維持することが、成長のための努力が実を結ぶ基盤となる。

本稿が、未来を目指す方々の一助となれば幸いである。

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成長の「モノサシ」について説明した動画も配信しておりますので併せてご覧ください。

ジュニア層

シニア層


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「私的CFO論」

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