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市民

vol.0014

鷲田清一(元大阪大学総長)著『しんがりの思想』を読みました。なかでも「市民性の衰弱」の観点に、つよい興味を覚えました。

日本社会は明治以降、近代化の過程で、行政、医療、福祉、教育、流通など地域社会における相互支援の活動を、国家や企業が公共的なサービスとして引き取り、市民はそのサービスを税金やサービス料と引き替えに消費するという仕組みに変えていった。(p. 47)

社会システムの変更により、日本は国力を増強し、経済大国と呼ばれました。しかし、行動様式も変わります。

高度成長期から高度消費社会への移行のなかで、それら日常生活でかならずこなさなければならないことが、行政の公共サービスや企業によるサービス業務にとって代わられるようになった。みずから体で憶え、果たすのではなく、サービスを選ぶのがわたしたちのいとなみとなった。(p. 64)

「果たす」ことをせず、「選ぶ」ことに慣れきったわたしたちは、サービスに不満を持つと、クレームをつけるようになりました。成熟した市民なら行うはずの「対案を示す」ことをせずに。しかし時代が変転しつつある現在、クレーマーばかりでは社会は立ちゆかない。「市民性」の回復が必要ではないか。そのような趣旨の問題提起がなされていました。


市民の数が減り、クレーマーの数が増える――マネジメントの現場でも同様の危機感を抱きます。「方針を打ち出せない社長が悪い」「何度言っても理解できない部下が悪い」「現場を理解していない上司が悪い」「協力しない他部署が悪い」云々。それらの言葉の後に、対案の提示はありません。

アバージェンスは「自責」を大切にしています。自責とは、たとえどんなことが起きても「目の前の状況は自分に何を教えているのか」と自問する立ち位置をとること。クレーマーの姿勢を改め、対案を示す「市民」となれるようマネジャーたちを支援することが大切ではないか。

そのためには、まずわれわれコンサルタントが「市民」でなければなりません。コンサルティングという商いは、クライアントのマネジメント上の不備をあげつらい、「あなたたちが変えるべきです」と言って済ませることも(原理的には)可能です。しかしそれでは、やっていることはクレーマーと同じです。

日頃から「懸命に対案を考えよ。クライアント以上に懸命に考える姿勢が、行動変化を生み出す」とクルーに話しています。いま一度「クレーマーではなく市民」の視点で「対案」の重要性の共有を徹底したいと思います。

まず自分たちが「市民」となり、提供するサービスを通じ、一人でも多くの「市民」出現に貢献する。これが次世代を「ほんの少しマシにする」と信じています。


2015年11月2日

小口 善左衛門

チーフ・オペレーティング・オフィサー
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