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人の性(さが)に反する

vol.0007

プロジェクトをきっかけに「社内改善・向上活動」を継続されているクライアント企業が数多くいらっしゃいます。そんな企業の経営幹部の「言葉」を紹介させて頂ければと思います。プロジェクトをご一緒したのは約6年前。取締役で、プロジェクトのサブリーダーでもあったその方とは、プロジェクト運営に留まらず、仕事観や人生観についても議論し、意見を戦わせて頂いていました。

「言葉」を伺ったのは、プロジェクト終盤の進捗報告会でした。その時期には、営業数値の向上・営業幹部のマネジメント力向上などの成果を手にしておられ、プロジェクトの関心は「いかに活動を定着させるか」に移っていました。営業幹部の報告をひと通り聞き終え、その方は質問されました。


「この活動は定着しないよ。A支店長。何故だかわかる?」

理論派タイプのA支店長は少しの沈黙の後、「理由は3つあると思います」と考えを述べました。

「いつも通りプレゼンテーションは上手いけど、全部上っ面の話。本質的じゃない」とばっさり切り捨て、その方はまた質問されました。「この活動は定着しないよ。B支店長、何故だかわかる?」

熱血漢タイプのB支店長は、思いついた順に自分の想いをぶちまけました。

「いつも通り何を言っているかわからない。自分たちが理路を明確にできないようでは、どんなことも長続きしないよね」

会議の出席者は全員下を向き、次は誰が指名されるのだろうかと戦々恐々としています。沈黙がしばらく続いたのち、その方は静かに口を開きました。

「今回プロジェクトで確立した新マネジメント・システムは、人の性(さが)に反しているからだよ。人の性に反することは続かない。そう思わない?」

誰も顔を上げようとしません。

「新マネジメント・システムで支店長は部下と毎日『日次ミーティング』を実施することになっている。これ、本当に継続できるのかな? 接待で酒が過ぎちゃった次の日を想像してよ。『あーしんどい。まだ酒が残ってるし、頭も身体も重いや』という日でも、部下より早く出勤して、日次ミーティングの準備をするんだよ。『今日は勘弁して。また明日からは頑張るからさ』というのが人の性だよね。こんな人の性に反していること、本当に続けていける?」

A支店長・B支店長をはじめ営業幹部は顔を上げ、その方を見つめていました。「この前、イチローが張本の記録を抜いたのは、みんなニュースで知っているよね。若い社員の人に聞いて知ったんだけど、イチローは自分なりの決め事をいろいろ持っているらしいね。しかもそれを必ず守る。『彼は人っぽい感じがしない。だからあんな記録を打ち立てられたんですね』と若い社員が言うのを聞いた瞬間、今回のプロジェクトの本質が自分なりに理解できたわけ。うちの会社は業界トップだよね。これからは提供サービスを拡げ、もう少し大きな業界でも勝負しようとしている。フィールドが大きくなっても、俺はトップを譲る気はないよ。うちの会社はいつも『覇者』でなければならない。それを可能とするには、組織体として人の性に反し続けなければならない。組織として決め事を作り、必ずやり続けなければならない。イチローのようにね。そのための仕組みが『新マネジメント・システム』だと思う。この本質的な意味を、ここにいる全員が、はっきり認識することが重要だと思うんだよ。そうそう、もう一つ」

営業幹部たちはすっかり、惹き込まれたように聴き入っています。


「人の性に完全に反し続けることは不可能だよ。みんなは人間だからね。『ほんの少し』人の性に反し続けることがミソだと思うんだ。ほんの少しなら、やってみようという気にもなる。やり続けていると『あれっ、そんなに苦しくないな』というところまでいける。『ほんの少し人の性に反し続けられる組織』の優位性は、『ほんの少し』ではない。頑張って続けようね」


何の注釈もつける必要のない話に出逢い、コンサルタントをやっていて本当に良かったと思えた一日でした。

2014年1月31日

小口 卓

チーフ・オペレーティング・オフィサー
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